毛糸のモール糸とは?作り方と毛羽が抜ける理由、編む前の注意

ビロードのような手ざわりの、もこもこした毛糸を見かけて、名前が気になっていませんか。
通販で「モール」と書かれた糸を見つけても、どんな糸なのか、自分にも編めるのかはわかりにくいものです。
本記事では、モール糸とは何かに加えて、毛羽を作る主な2通りの方法と、毛羽が抜ける理由をまとめました。
あわせて、商品名や説明に「モール」とある糸の例と、編みはじめる前に確かめたい3つの点も紹介します。
読み終えるころには、糸の性質を知ったうえで、糸選びや編みはじめの失敗を減らせるようになりますよ。
モール糸はビロードのような毛羽を立てた飾り糸

モール糸は、糸全体に毛羽が立った飾り糸で、ビロード調やベロア調の編み地を作ることができます。
もこもこした糸の写真を見て、何という糸なのか気になった人もいますよね。
モール糸は、シェニール糸とも呼ばれます。
シェニール(chenille)はフランス語で「毛虫」という意味で、糸の見た目から付いた呼び名です。
糸の説明では、「モールヤーン」と書かれることもあります。
また、モール糸は意匠糸(ファンシーヤーン)の1つです。
意匠糸には、ループ・モール・スラブ・ラメのような装飾的な糸が入ります。
なお、工作で使う針金入りのモールは、毛糸のモール糸とは別のものです。
モール糸の毛羽ができる主な2つの作り方

モール糸の作り方は主に2つあり、どちらも花糸という糸を切って毛羽にします。
モール糸を手に取っても、毛羽がどうやって糸に付いているのかまでは、なかなか見えてきません。
どちらの作り方にも、芯糸・押さえ糸・花糸の3種類の糸が使われます。
花糸が毛羽になり、ほかの2種類は花糸を挟む側の糸です。
作り方を、次の2つに分けて解説します。
- 芯糸と押さえ糸に花糸を切りながら挟み込む
- ラッセル編機で縦に張った糸に花糸を絡める
作り方の違いを知っておくと、次に取り上げる毛羽の抜けにくさの違いも見えてきます。
1つずつ見ていきましょう。
作り方1.芯糸と押さえ糸に花糸を切りながら挟み込む
1つめは、芯糸と押さえ糸に、よりをかけながら花糸を挟み込んで作る方法です。
よりをかけるとは、糸をねじって、互いにからませることを言います。
よりをかけている間に、花糸をカッターで切りながら、よりの中に入れていくのが特徴です。
切った花糸は糸のまわりに立ち、毛羽になります。
本記事で「よりをかけて作るモール糸」と書くときは、1つめの方法で作った糸のことです。
作り方2.ラッセル編機で縦に張った糸に花糸を絡める
2つめは、ラッセル編機という機械で作る方法で、できた糸の名前はラッセルモールです。
まず、芯糸と押さえ糸を、織物のように縦に何本も張り、横から花糸を差し込みながら絡めていきます。
最後に花糸を切れば、糸のできあがりです。
ラッセルモールには、平たい形の糸が多くあります。
モール糸の毛羽は摩擦や強い引っ張りで抜けることがある

摩擦や強い引っ張りが加わると、モール糸の毛羽は抜けることがあります。
時間をかけて編んだ作品の毛羽が抜けたらと思うと、心配になりますよね。
一例として、既製品のセーターで毛羽が抜けたケースがあります。
着たときとクリーニングのときの摩擦で毛羽が抜け、芯糸が見えて、帯状に色が変わって見えました。
抜けにくさは作り方によって違い、ラッセルモールは、よりをかけて作るモール糸に比べて花糸が抜けにくい糸です。
ただし、抜けにくいというだけで、必ず抜けないわけではありません。
花糸が芯に挟まって絡んでいるだけだからです。
毛羽の抜けを防ぐ工夫には、熱融着繊維という繊維を使って毛羽を接着する方法があります。
熱融着繊維による接着は、樹脂の量が多いほど、毛羽の抜けを防ぐ効果が高いです。
ただ、樹脂を増やすと糸の風合いが硬くなるため、たくさんは使えません。
接着した糸でも、毛羽が抜けるのを完全に防ぐことは難しいです。
抜けにくさは、作り方だけでなく糸ごとにも違います。
糸ごとの違いがわかる例が、ハマナカのリッチモア 繭(まゆ)と、ハマナカ itoa の「あみぐるみが編みたくなる糸」です。
繭は、ソフトな風合いを保つために、エルダーヤーン(接着糸)を使っていません。
普通に編んで着る分には問題ない一方、毛羽を強く引っ張ると抜けることがあります。
あみぐるみが編みたくなる糸は、芯糸に少し伸びる性質を持たせて、切れやすさを減らした糸です。
また、あみぐるみが編みたくなる糸には、毛抜けもほとんどありません。
糸によっては、商品ページに毛羽の抜けについての説明があります。
モール糸を選ぶときは、毛羽の抜けについての説明も読んでから決めてみてください。
編み上げた作品を洗うときは、糸のラベルに洗い方の表示があれば、表示に合わせて洗うと安心です。
商品名や説明にモールとある毛糸の例と使用針の違い

次の表の5つの糸では、棒針の使用針が4〜5号(3.3〜3.6mm)から14〜15号(6.3〜6.6mm)程度まで幅があります。
モールと付く糸を探してみたら、候補がいくつも出てきて迷うこともありますよね。
表には、商品名や説明にモールの語がある毛糸の例を並べました。
| 糸 | 作品の例 | 品質 | 仕立て | 使用針・標準ゲージ |
|---|---|---|---|---|
| リッチモア 繭(まゆ) | ウェア・ショール | 絹 100% | 25g玉巻き(約132m) | 棒針 5〜6号・18目28段/かぎ針 6/0号・17目8段 |
| ハマナカ itoa あみぐるみが編みたくなる糸 | あみぐるみ | ポリエステル90%、ナイロン10% | 15g玉巻き(約65m) | 棒針 4〜5号 20〜21目・34〜35段/かぎ針 4/0号 24目・11段 |
| リッチモア ランタンモール | ストール | ポリエステル56%、ナイロン44% | 20g玉巻き(約122m) | 棒針 5〜6号 19.5目30段/かぎ針 6/0号 18目9.5段 |
| itobatake テディベア | マフラー・つけ襟 | ポリエステル100% | 50gあたり約70m/100gあたり約140m(50g巻・100g巻) | 棒針:14〜15号程度(参考)。ゲージの記載なし |
| 丸安毛糸 スプーニャモール | – | ウール86%、ポリエステル14% | 30g/57m 極太(番手:1/1.9) | 棒針:8〜12号。ゲージの記載なし |
モールの語が付く糸には、糸全体が毛羽の糸だけでなく、モールが一部に付く糸もあります。
ランタンモールは、細いポリエステルとラメの芯糸に、丸いナイロンのモールを散りばめた糸です。
テディベアは、ループの部分とカットした部分が交互に現れます。
編む糸が決まったら、糸ごとに表示されている使用針を見て、針を選んでみてください。
モール糸を編みはじめる前に見ておきたい3つのこと

モール糸を編む前に、編み目の見え方・糸ごとの注意書き・毛足の向きの3つを見ておくと、編みはじめてから戸惑いにくくなります。
はじめてモール糸を手にすると、いざ編みはじめる段になって迷うのは自然なことです。
具体的には、次の3つを取り上げます。
- 編み目が見にくいので光に透かして編む
- 糸によって注意書きがある
- 毛足には向きがある
先に3つを頭に入れておくと、編み進めてからの失敗を減らせます。
順番に見ていきましょう。
ポイント1.編み目が見にくいので光に透かして編む
モール糸は編み目を見つけにくいので、光に透かして編み目を探すのがおすすめです。
編み物がはじめてで、モール糸の編み目を追いにくいと感じたら、最初の1作は太めのストレートヤーンで編む方法もあります。
ストレートヤーンは、太さが変わらず、よりのかけ方にもむらのない、シンプルな作りの糸です。
ポイント2.糸によって注意書きがある
編みはじめる前に、糸ごとの注意書きを読んでおくと安心です。
一例として、リッチモア ランタンモールは、玉の外側から使います。
itobatake テディベアは、製造の都合で結び目が入る場合のある糸です。
買った糸の商品ページに注意書きがないか、編みはじめる前に目を通してみてください。
ポイント3.毛足には向きがある
モール糸は、毛足に向きがある糸です。
巻き直した玉とそのままの玉が1つの作品の中で混ざると、色ムラやスジのように見えてしまいます。
1つの作品には、巻き直した玉どうし、またはそのままの玉どうしをそろえて使ってみてください。
作りたい物に合う毛糸を相談して選べる下北沢のKnit Shelf
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Knit Shelfと[hus:](フース)は、姉妹店の関係にあります。
扱っている銘柄は、[hus:]、DARUMA、ハマナカ、内藤商事、sawada itto、taiyo-keito、itobatake、KnitWit、丸安毛糸の60(ろくまる)です。
糸選びで迷うときは、店頭にいる店員へ気軽に相談してみてください。
編み物スペースが店内にあるので、当店の毛糸でも、持ち込んだ作りかけの作品でも、店で編み進められます。
毛糸を買わずに、家から作品だけを持ってきて編む日があってもかまいません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 〒155-0033 東京都世田谷区代田6-6-1 TOKYU REIT下北沢スクエア3階 |
| アクセス | 井の頭線 下北沢駅西口北側から徒歩2分 |
| 営業時間 | 11:00〜17:00 |
| 定休日 | 不定休 |
| @knitshelf |
休む曜日は月ごとに入れ替わるので、来る日がお休みに当たらないか@knitshelfで確かめておくと、行き違いを防げます。
まとめ
モール糸は、ビロード調の毛羽が立った飾り糸で、シェニール糸という別名もあります。
摩擦や強い引っ張りで毛羽が抜けることもあり、抜けにくさは作り方や糸によってさまざまです。
編む前には、編み目の見え方と糸ごとの注意書き、毛足の向きを見ておきましょう。
下北沢のKnit Shelfは、扱っている銘柄の毛糸のほか、持ち込みの作品も編める編み物スペースを設けた毛糸店です。