メリノウールの毛糸とは?毛の細さと等級の呼び方、ラベルの読み方

毛糸の商品名やラベルで「メリノ」の文字を見かけて、ふつうのウールの糸と何が違うのか迷うことはありませんか。
メリノウールの毛糸は、メリノという羊の品種からとった毛で作る糸です。
本記事では、メリノという品種、ほかの羊毛と比べた特徴、ラベルの品質表示と等級の呼び方、糸ごとに違うよりのかけ方や原料を紹介します。
読み終えたあとは、ラベルの品質表示と糸の説明を手がかりに、メリノの毛糸どうしを見比べて選べるようになりますよ。
メリノは各国で改良された羊の品種でラムとは分け方が違う

メリノは、毛をとるために飼われる羊の品種(系統)の名前です。
スペイン原産のスパニッシュメリノをもとに、世界の各国で改良が重ねられてきました。
改良されてできた品種には、フランスのランブイエメリノや、オーストラリアのオーストラリアンメリノなどがあります。
毛糸の商品名で「メリノ」と「ラム」の両方を見かけて、同じ羊の毛なのに何が違うのか迷う人もいますよね。
ラムウールは、子羊からとった毛を指します。
メリノは羊の品種で分けた呼び方で、ラムは子羊の毛かどうかで分けた呼び方です。
商品名を見るときは、メリノは羊の品種、ラムは子羊の毛と、分けて読んでみてください。
メリノウールの毛と毛糸をほかの羊毛と比べた4つの特徴

ここからは、ほかの羊毛と並べたときに見えてくる、メリノウールの毛と糸の特徴を解説します。
「メリノは柔らかい」と聞いても、ほかのウールの糸とどこが違うのかは、数字がないとつかみにくいものです。
4つの特徴を、以下に並べました。
- オーストラリアのメリノの毛は直径18〜23ミクロンと細い
- メリノの細い毛はほかの品種より縮れとスケールが多い
- 毛は柔らかくチクチクの境目には諸説がある
- 細い繊維の糸は毛玉ができやすい傾向がある
最初の3つは毛そのものの特徴で、4つめは細い繊維で作った糸の傾向です。
毛の太さは、ミクロンという単位で比べます。
1mmを1000に分けた1つ分の長さが、1ミクロンです。
毛の太さとスケールを知っておくと、ラベルに添えられた等級の呼び方や防縮加工の語を読むときの手がかりになります。
1つずつ見ていきましょう。
特徴1.オーストラリアのメリノの毛は直径18〜23ミクロンと細い
オーストラリアのメリノ羊毛は、直径0.018〜0.023mm、ミクロンに直すと18〜23ミクロンの細さです。
長さは5〜10cmくらいあります。
雑種の羊からとった羊毛は、直径0.024〜0.042mm(24〜42ミクロン)、長さ7〜20cmくらいです。
品種で比べると、コリデールという羊の毛は28〜32ミクロン、ロムニーという羊の毛は32〜36ミクロンあります。
特徴2.メリノの細い毛はほかの品種より縮れとスケールが多い
メリノの細い毛には、太い毛の品種より多くの縮れとスケールがあります。
縮れ(クリンプ)は、毛にある波のような曲がりです。
スケールは、毛の表面をおおう、うろこのような形の部分を指します。
細い羊毛ほど縮れの数が多く、波も深いのが一般的です。
測った例では、直径16ミクロンのオーストラリアのメリノの毛に、1cmあたり9.4〜11.8個の縮れがありました。
直径39ミクロンのリンカン種の毛では、1cmあたり1.1〜1.9個です。
縮れには、湿った状態で引き伸ばされても、しばらくすると元の形に戻る性質があります。
スケールの数は、メリノの細い毛で1cmあたり1000〜1200個、サウスダウン種の毛で650個前後、リンカン種の毛で500個前後です。
スケールの語は、あとで紹介する防縮加工の仕組みにも出てきます。
特徴3.毛は柔らかくチクチクの境目には諸説がある
メリノの毛は細く柔らかい一方で、チクチクを感じる太さの境目には諸説があります。
1つは、繊維の太さが17.5ミクロンを下回ればチクチクしにくいという説です。
30ミクロン以上の繊維が5%含まれると不快に感じる、という説もあります。
2つの説の違いは、境目を繊維の太さで決めるか、太い繊維が含まれる割合で決めるかです。
メリノの毛にも細さの幅があり、メリノの糸だからといってチクチクを感じないとは限りません。
首まわりに巻く作品こそ、肌ざわりのよい糸で編みたいものです。
首まわりの作品に使う糸は、首すじに近い肌に当てて、チクチクしないかを試してみてください。
特徴4.細い繊維の糸は毛玉ができやすい傾向がある
メリノの毛のように細い繊維で作った糸には、毛玉ができやすい傾向があります。
柔らかさにひかれて選んだ糸に毛玉ができると、残念に感じることもありますよね。
毛玉のできやすさには、繊維の細さのほかに、糸のよりのかけ方も関わります。
よりは、繊維や糸を何本かねじり合わせて、1本にからめることです。
よりが弱い糸は繊維が動きやすく、毛玉ができやすくなります。
毛玉が気になる作品に使うなら、糸の説明に毛玉のことが書かれているかも確かめてみてください。
毛糸のラベルでメリノウールを読み取る4つの確認

続いて、毛糸のラベルからメリノウールの糸を読み取るときに確かめたいことを解説します。
ラベルでメリノの文字を探しても、書かれている場所が糸ごとに違っていて戸惑うことも珍しくありません。
まず見るのは、ラベルの品質表示です。
品質表示は、糸に使った繊維の組成と、表示者の名前と連絡先を示す表示で、毛糸にも義務づけられています。
確かめる内容は、以下のとおりです。
- メリノは品質表示の繊維の名前にない
- 括弧の書き方はメーカーや糸ごとに違う
- エクストラファインなどの呼び方は境目が発信元で違う
- 防縮加工の表記を見つけたら洗濯表示と糸の説明も見る
4つを順に確かめると、ラベルに添えられたメリノの語から、どんなメリノの毛を使い、どんな加工をした糸かが読み取れます。
順番に見ていきましょう。
確認1.メリノは品質表示の繊維の名前にない
品質表示の繊維の名前に、メリノという語は入りません。
品質表示に書ける繊維の名前は、法令で決まった指定用語です。
羊毛は、毛・羊毛・ウール・WOOLのいずれかの指定用語で書かれます。
メリノのような羊の品種名は指定用語になく、メーカーが任意で添える情報です。
メリノの毛を使った糸かを知りたいときは、繊維の名前のまわりに添えられた語を手がかりにしてみてください。
確認2.括弧の書き方はメーカーや糸ごとに違う
メリノの語を括弧で添える書き方は、メーカーによっても、同じメーカーの糸どうしでも違います。
DARUMAとハマナカが品質表示にメリノの語を入れている糸の例を、次の表に並べました。
| 糸の名前(メーカー) | 品質表示 |
|---|---|
| メリノウール 並太・極太(DARUMA) | ウール(メリノウール)100% |
| 原毛に近いメリノウール(DARUMA) | ウール(メリノ)100% |
| Rambouillet Merino Wool(DARUMA) | ウール100%(ランブイエメリノウール) |
| Spanish Merino(DARUMA) | ウール100%(スパニッシュメリノウール) |
| Super Wash Merino(DARUMA) | ウール(エクストラファインメリノ・防縮加工)100% |
| Superwash Spanish Merino(DARUMA) | ウール80%(スパニッシュメリノウール・防縮加工)ナイロン20% |
| エアリーウールアルパカ(DARUMA) | ウール(メリノ)80%・アルパカ(ロイヤルベビーアルパカ)20% |
| エクシードウールL<並太>・FL<合太>(ハマナカ) | ウール100%(エクストラファインメリノ使用) |
| アメリー エル《極太》(ハマナカ) | ウール70%(ニュージーランドメリノ使用)、アクリル30% |
同じDARUMAの糸でも、括弧が「100%」の前に入るものと、後ろに入るものがあります。
括弧の中に入る語も、糸によってさまざまです。
品種名のランブイエメリノウール、等級の呼び方のエクストラファインメリノ、加工の名前の防縮加工などが入ります。
表のエアリーウールアルパカ、Superwash Spanish Merino、アメリー エル《極太》は、ほかの繊維を混ぜた糸です。
3本とも、メリノの語はウールの部分にだけ添えられています。
ラベルを見るときは、繊維の名前と割合だけでなく、括弧の中の語まで読んでみてください。
確認3.エクストラファインなどの呼び方は境目が発信元で違う
エクストラファインのような等級の呼び方は、毛の太さで分けたもので、境目の数値は発信元ごとにまちまちです。
等級の呼び方には、太い順にストロング、ファイン、エクストラファイン、スーパーエクストラファインなどがあります。
呼び方ごとの太さの区分を、表にまとめました。
| 呼び方 | 丸安毛糸(KNIT MAGAZINE) | maruam | ファーストリテイリング |
|---|---|---|---|
| ストロングメリノ | 23〜25ミクロン | 23〜25ミクロン | – |
| ミドルメリノ | – | 20〜22ミクロン | – |
| ファインメリノ | 20〜22ミクロン | 20〜21ミクロン | – |
| エクストラファインメリノ | 18.5〜19.5ミクロン | 18.5〜19.5ミクロン | 19ミクロン以下 |
| スーパーエクストラファインメリノ | 16.5〜17.5ミクロン | 16.5〜17.5ミクロン | – |
同じエクストラファインメリノでも、18.5〜19.5ミクロンの列と19ミクロン以下の列があり、区切り方が同じではありません。
ファインメリノも、表の列によって20〜22ミクロンと20〜21ミクロンに分かれます。
ラベルの呼び方は細い毛を使った糸かどうかの手がかりにとどめ、手ざわりは糸に直接触れて確かめてみてください。
確認4.防縮加工の表記を見つけたら洗濯表示と糸の説明も見る
品質表示に防縮加工の語がある糸は、洗濯表示と糸の説明もあわせて見ると、洗い方まで確かめられます。
品質表示の表に並べたSuper Wash MerinoとSuperwash Spanish Merinoは、括弧に防縮加工の語が入った糸です。
ラベルでは、防縮加工がSUPERWASHという英語の表記になっていることもあります。
防縮加工は、化学的な処理でスケールの角を取って丸くするか、樹脂でスケールを包む加工です。
毛糸の洗濯表示は、品質表示と違って表示の義務がなく、メーカーが任意で付けます。
防縮加工の表記を見つけたら、ラベルの洗濯表示と商品の説明の両方を見て、洗い方を決めてみてください。
糸の説明で、洗い方までわかる糸もあります。
一例として、Super Wash Merinoは、洗濯機で洗えて縮まない靴下用の糸です。
同じメリノウールの毛糸でもよりのかけ方と原料は糸ごとに違う

最後に、同じメリノウールの毛糸でも、糸によってよりのかけ方や原料が違うことを解説します。
同じ「メリノ」の名前が付いているのに、太さも手ざわりも違う糸が並んでいて、何を選べばいいか迷うこともありますよね。
取り上げる違いは、次の2つです。
- よりのかけ方は糸ごとに違う
- 原料の産地や混ぜる繊維は糸ごとに違う
2つの違いを知っておくと、商品の説明のどこを読めば仕上がりの違いがわかるかが見えてきます。
2つを順に見ていきましょう。
違い1.よりのかけ方は糸ごとに違う
同じDARUMAのメリノの糸でも、よりのかけ方は糸ごとに違います。
DARUMAのメリノの糸から、よりについての説明がある3本を表に並べました。
| 糸の名前(DARUMA) | よりのかけ方と仕上がり | 重さと長さ | 使用針 |
|---|---|---|---|
| 原毛に近いメリノウール | 羊毛に少しだけよりをかけた糸で、原毛の風合いに近く、ふわふわと柔らかく軽く編みあがる | 30g(約91m) | 棒針6〜8号・かぎ針7/0〜7.5/0号 |
| Rambouillet Merino Wool | よりを通常よりも強くかけた糸で、細かな模様編みがはっきりと浮かび上がる | 50g(約145m) | 棒針4〜6号・かぎ針5/0〜7/0号 |
| Super Wash Merino | 靴下を編むための糸で、よりを強くかけてあり、毛玉になりにくい | 50g(約145m) | 棒針2〜3号・かぎ針3/0〜4/0号、ソックス 棒針0〜1号 |
作りたい仕上がりが決まっているときは、商品の説明でよりのかけ方を見てから選んでみてください。
違い2.原料の産地や混ぜる繊維は糸ごとに違う
原料の羊が育った産地や、ウールに混ぜる繊維も、糸ごとに違います。
原料にふれた説明がある3本を、DARUMAのメリノの糸から選んで表にしました。
| 糸の名前(DARUMA) | 原料と仕上がり | 重さと長さ | 使用針 |
|---|---|---|---|
| メリノウール 並太(2025年までの商品名はメリノスタイル) | 縮れの強い南米産のメリノウールと、白さの度合いが高いオーストラリア産のメリノウールを混ぜた糸で、膨らみと発色をあわせ持つ | 40g(約88m) | 棒針6〜7号・かぎ針6/0〜7/0号 |
| Spanish Merino | スペイン原産のメリノの毛を使った糸。スペイン西部で育った羊の毛を使い、柔らかいのにコシが強く弾力があり、とても軽く編みあがる | 50g(約71m) | 棒針11〜13号・かぎ針9/0〜10/0号 |
| Superwash Spanish Merino | スペインのメリノにナイロンを20%混ぜた靴下用の糸で、ナイロンが入るぶん摩擦に強い | 50g(約212m) | 棒針1〜3号(ソックス 棒針0〜1号)・かぎ針3/0号 |
糸を選ぶ前に、品質表示の割合と商品の説明から、原料の組み合わせを確かめてみてください。
1玉から毛糸を選んで店員に相談できる下北沢のKnit Shelf

Knit Shelfは、扱う銘柄の毛糸を1玉から手に取って選べる、下北沢の毛糸店です。
ラベルの読み方がわかってくると、次は実物の太さや手ざわりも比べたくなりますよね。
当店で扱っている銘柄は、DARUMA、ハマナカ、内藤商事、sawada itto、taiyo-keito、itobatake、KnitWit、丸安毛糸の60(ろくまる)です。
糸選びに迷ったときや、作品に何玉あれば足りるか知りたいときは、店頭にいる店員にたずねてみてください。
店内に編み物スペースを設けていて、当店の毛糸で編み始めることも、途中まで編んだ作品の続きに取りかかることもできます。
毛糸の買い物をしない日に、編みかけを抱えて立ち寄るだけでもかまいません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 〒155-0033 東京都世田谷区代田6-6-1 TOKYU REIT下北沢スクエア3階 |
| アクセス | 井の頭線 下北沢駅西口北側から徒歩2分 |
| 営業時間 | 11:00〜17:00 |
| 定休日 | 不定休 |
| @knitshelf |
休みの日は月ごとに変わるので、足を運ぶ日が休みでないか、Instagramの@knitshelfで見てみてください。
まとめ
メリノウールの毛糸は、羊の品種メリノの毛で作る糸です。
毛はほかの羊毛より細く縮れとスケールが多い一方、チクチクの境目には諸説があり、細い毛の糸は毛玉ができやすいという傾向もあります。
品質表示の繊維名にメリノは入らず、括弧の添え方や等級の境目、よりや原料もさまざまです。
防縮加工の表記は、洗濯表示と糸の説明もあわせて見ます。
Knit Shelfは、扱う銘柄の毛糸を実物で比べて選べる下北沢の店です。