モヘアの毛糸とは?アンゴラヤギの毛糸の特徴やラベルの見方を解説

ふわふわの毛糸を探していて、モヘアという名前に行き着いた人は多くいます。
けれど何の毛から作られているのかは、意外と知られていません。
編み目が見えないという話を聞いて、自分に編めるのか不安になった人もいるはずです。
モヘアの原料はアンゴラヤギで、編みにくさの理由は2つあります。
この記事では、原料と区分、ラベルの読み方、編むときのつまずき、手入れと保管までをまとめました。
読み終えるころには、店頭でモヘアのラベルを見て、自分に扱える糸かを判断できるようになります。
モヘアの毛糸はアンゴラヤギの毛からできている
モヘアの糸に使われているのは、アンゴラヤギという品種のヤギの毛です。
「モヘア=アンゴラウサギ」と説明しているページも、実際にあります。
けれど、アンゴラが指しているのはウサギの毛です。
繊維の名前を決める指定用語という決まりでも、モヘアとアンゴラは別の繊維として区別されています。
アンゴラウサギの毛から作られる糸に付く名前は、アンゴラです。
モヘアという表示は、原料を表しています。
ウールとの違いが出るのは、糸の表面の作りです。
ウールの表面には鱗のような構造があり、スケールと呼ばれています。
モヘアにはスケール状の表面がなく、肌当たりがなめらかです。
ただし、モヘアがチクチクするかどうかには諸説があります。
分かれているのは、30ミクロン以上が5%含まれると不快とする説と、17.5ミクロンより細ければしにくいとする説です。
吸湿性がウールより高いことも、長所に挙げられます。
黒いコートにモヘアの毛が付いて驚いた経験がある人も、多いはずです。
短所には、摩耗や折り曲げへの弱さと繊維の抜けやすさが挙がります。
カケンテストセンターが指摘するのは弱さで、東京都クリーニング組合が挙げるのは抜けやすさです。
長所と短所の両方を知っておくと、店頭でモヘアの糸を見たときに迷いにくくなりますよ。
若いヤギの毛を指すモヘアの2つの区分
毛糸のラベルで見かける「キッドモヘア」「スーパーキッドモヘア」は、どちらも若いヤギの毛を指す区分です。
区分が分かれる理由は、ヤギの月齢の違いにあります。
キッドモヘアという表示を見ても、何がどう違うのかはわかりにくいものです。
ここで取り上げる区分は、次の2つに分かれます。
- キッドモヘアが指すのは生後1年未満の毛
- スーパーが付くのは生後3〜6か月の毛
2つの区分がわかると、ラベルの表示から毛の若さと取れる量の違いを読み取れます。
1つずつ見ていきましょう。
区分1.キッドモヘアが指すのは生後1年未満の毛
生後1年未満のヤギの毛が、キッドモヘアと呼ばれています。
繊維の細さを表す単位はミクロンで、キッドモヘアは25〜27ミクロンです。
キッドモヘアを「カシミアに近い」と表現している情報源もあります。
ただし、カシミヤの繊維は14〜16ミクロンです。
数字だけを並べると、キッドモヘアのほうがはっきり太いとわかります。
ラベルのキッドモヘアという表示は、若いヤギの毛を使った糸の目印です。
区分2.スーパーが付くのは生後3〜6か月の毛
生後3〜6か月のヤギから取れる毛を、スーパーキッドモヘアと呼びます。
キッドモヘアよりも、さらに若い時期の毛だけを集めた区分です。
取れる量は限られていて、モヘア全体の1/6程度にとどまります。
ラベルにスーパーキッドモヘアの表示があれば、量の限られた毛を使った糸です。
モヘアの毛糸をラベルで見分ける3つのポイント
モヘアの糸は、商品名から太さや中身を読み取れるとは限りません。
毛糸のラベルは小さな数字が詰まっていて、どこから見ればいいのか迷います。
同じ「モヘア」という名前でも、重さと長さの比と標準ゲージは銘柄ごとにまちまちです。
空気を多く含んだ嵩高な糸では、重さと長さから見当を付けた太さと標準ゲージが食い違うこともあります。
ラベルで見る場所は、次の3つです。
- 混率で入っている繊維を確かめる
- 重さと長さの比で太さを見る
- 標準ゲージは編み方によって2通り書かれる
3か所を順番に見る習慣が付くと、店頭で自分の目で判断できるようになります。
順番に確かめましょう。
ポイント1.混率で入っている繊維を確かめる
混率を見ると、毛玉の出方がわかります。
混ざっている繊維によって、毛玉のでき方と落ち方が変わるためです。
編んだセーターに毛玉が浮いてきて、がっかりした経験は少なくありません。
繊維の名前と混用率は、ラベルの品質表示の欄に並んでいます。
- 動物繊維の毛玉は、できるが脱落しやすい
- アクリルの毛玉は、最もできやすく落ちない
モヘアも動物の毛で、ウールやカシミヤと同じ動物繊維に入ります。
買う前にできるのは、混率の割合を足して読むことです。
モヘアやウールなどの動物繊維の割合と、アクリルなどの合成繊維の割合をそれぞれ足してみてください。
どちらが多い糸かがわかると、使っていったときの毛玉の残り方まで見当が付けられます。
ポイント2.重さと長さの比で太さを見る
ラベルの太さ表記と針の指定は、銘柄ごとに幅があります。
メーカー公式が公開している数字を並べたものが、次の表です。
| 製品名 | ラベルの太さ表記 | 100g換算の長さ | 標準ゲージ | 棒針 |
|---|---|---|---|---|
| DARUMA「Wool Mohair」 | 極太 | 230m | 13〜14目 | 10〜12号 |
| パピー「キッドモヘアファイン」 | 極細 | 900m | 27〜28目 | 1〜3号 |
表の標準ゲージは、棒針のメリヤス編みで10cm四方に入る目数です。
太さを見るときには、重さと長さの比を使います。
50gで100mの糸と40gで80mの糸は、おおむね同じ太さだというのが日本ヴォーグ社の説明です。
表のDARUMAの糸は、重さと長さの比から想像する太さよりも、緩い標準ゲージと太い針が指定されています。
メーター数がそのまま太さを表すと単純化できないのは、嵩高な糸があるためです。
ラベルの号数が太くて、印刷の間違いではないかと不安になることもあります。
ラベルの号数が太めに見えても、表記の誤りではありません。
重さと長さの比で見当を付けたあとは、標準ゲージと針の指定も一緒に読んでみてください。
ポイント3.標準ゲージは編み方によって2通り書かれる
モヘアのラベルには、標準ゲージが2通り載っていることがあります。
二本どりは、同じ糸を2本そろえて1本のように編む方法です。
1本で編むときと二本どりでは、編み上がる編み地の密度が変わります。
ハマナカのリッチモア「エクセレントモヘア<カウント10>」は、1本で編むときが棒針4〜5号で25目36段です。
同じ糸を二本どりで編むときは、ハマナカが棒針6〜8号で19目28段と示しています。
二本どりは本数の話で、引き揃えは組み合わせの話という整理も広く使われる言い方です。
ただしメーカー公式は、二本どりと引き揃えを区別していません。
何本で編むかを先に決めてから、対応する行の号数を読んでみてください。
モヘアの毛糸を編むときにつまずきやすい2つのこと
モヘアが編みにくいと言われる理由は、2つに分けられます。
どちらも編み手の腕の問題ではなく、モヘアを編む人の多くがぶつかる場面です。
ふわふわの糸を1段だけほどこうとして、手が止まってしまった経験はよくあります。
先に知っておきたいつまずきは、次の2つです。
- 編み目が見えないときは光にかざす
- ほどきにくいから針と手加減を先に決める
2つを頭に入れておくと、つまずいたときにすぐ手を打てますよ。
1つずつ確かめていきましょう。
つまずき1.編み目が見えないときは光にかざす
編みはじめて数段で目が数えられなくなり、焦ることがあります。
モヘアは毛足の長い糸です。
編んでいる途中で、編み目を追いにくくなります。
編み手の間で使われている対処は、次のとおりです。
- 光にかざして編み目を影で見る
- 指の感覚で糸の芯をとらえる
まずは、光にかざす方法から試せます。
昼は窓際で、夜は間接照明に向けて編み地を少し持ち上げてみてください。
もう1つは、毛足ではなく糸の芯を指先で感じ取りながら編むやり方です。
どちらも手元の糸と針だけで試せるので、1つ選んでみてください。
つまずき2.ほどきにくいから針と手加減を先に決める
モヘアは、一度編んだ目をほどきにくい糸です。
ほどきにくいからこそ、本番に入る前の試し編みが重要になります。
試し編みで決めるのは、手加減と針の2つです。
手加減は、次の手順で決められます。
- 本番に使う糸と針で、15cm四方より大きい編み地を用意する
- 毛足で端の目が判別しにくいので、数えるのは中央の10cm四方にする
- 数えた目数を、ラベルの標準ゲージと見比べる
指定より目数が多いときは、編み目が小さくきつく編めているサインです。
針を1つ太いものに替えると、目の詰まり具合が緩みます。
反対に目数が少ないときは、1つ細い針に持ち替えてみてください。
もう1つ決めておきたいのが、針の素材です。
モヘアと針の素材の相性には、両論があります。
金属がよいとする情報源と、プラスチックがよいとする情報源の両方があるためです。
2つに共通しているのは、竹より滑る素材という方向性にとどまります。
手持ちの針で試し編みをして、編みやすいと感じた1本を本番に使ってみてください。
モヘアのニットと毛糸を長持ちさせる2つの手入れ
手入れが必要なのは、編み上がったニットに限りません。
編む前の毛糸にも、同じように守り方があります。
去年編んだモヘアのニットを引っ張り出したとき、毛が寝ていて驚くのはよくある場面です。
洗い方も保管の仕方も、手元の糸と表示を見れば決められます。
手入れで見ておきたいのは、次の2つです。
- 洗い方は製品ごとの表示で決める
- 編む前の毛糸は虫から守って保管する
2つを覚えておくと、次の冬も同じ状態で使えます。
上から順に見ましょう。
手入れ1.洗い方は製品ごとの表示で決める
モヘアのニットを洗うとき、手洗いでいいのか洗濯機でいいのか迷います。
洗い方を決めるのは、製品ごとの表示です。
洗濯表示が義務づけられているのは衣料品で、糸には義務がありません。
ハマナカは自社の「ハマナカ モヘア」について、ネット使用なら洗濯機で丸洗いできるとしています。
あわせて示している寸法変化率は、±1%です。
一方でモヘア全般では、アイロンを蒸気だけにとどめます。
判断の材料になるのは、手持ちの糸のラベルです。
編み上がったニットを洗う日のために、糸のラベルは取っておいてみてください。
手入れ2.編む前の毛糸は虫から守って保管する
買ってすぐ編まない毛糸ほど、虫から守る手立てが要ります。
毛糸を食べるのは成虫ではなく、虫の幼虫です。
日本繊維製品防虫剤工業会は、イガ、コイガ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシの4種類を挙げています。
幼虫が最も好むのは、ウールやカシミヤやシルクなどの動物性繊維です。
綿や麻も食べ、汚れが付いていれば化学繊維まで被害に遭います。
モヘアも動物の毛で、好まれる側の繊維です。
活動が活発になる条件は、次の2つに分かれます。
- 気温15〜25度
- 湿度60%以上
暖房のある家では、寒い時期でも条件がそろいます。
毛糸を袋のまま置きっぱなしにせず、乾いた場所にまとめてしまってみてください。
毛糸の表情を実物で確かめられる下北沢のKnit Shelf
毛糸の表情まで確かめて選びたいなら、下北沢の毛糸専門店Knit Shelfで実物を手に取れます。
糸玉の写真では、毛足の立ち方まで読み取れないためです。
写真で選んだ糸が、編んでみたら思っていた表情と違って見えるときもあります。
ラベルで確かめられるのは、重さと長さと標準ゲージの数字です。
毛足の見え方は、数字の欄には出てきません。
棚には、毛糸と編み物の道具が並びます。
取り扱っている毛糸の銘柄は、次のとおりです。
- DARUMA
- ハマナカ
- 内藤商事
- sawada itto
- taiyo-keito
- itobatake
- KnitWit
- 丸安毛糸の60(ろくまる)
持ち込んだ編みかけの作品を編める編み物スペースも、店内にあります。
住所と営業の情報をまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 〒155-0033 東京都世田谷区代田6-6-1 TOKYU REIT下北沢スクエア3階 |
| アクセス | 下北沢駅から徒歩5分 |
| 営業時間 | 11:00〜17:00 |
| 定休日 | 不定休 |
| @knitshelf |
下北沢に出かける日には、棚の毛糸をゆっくり見比べてみてください。
モヘアの毛糸選びと編み方のまとめ
モヘアはアンゴラヤギの毛から作られる糸で、アンゴラウサギの毛とは別物です。
ラベルは、混率、重さと長さ、標準ゲージの順に見ると読み取れます。
編みにくさの正体は、編み目が見えにくいこととほどきにくいことの2つです。
先に試し編みをして針と手加減を決めておくと、途中で手が止まりにくくなります。